ピンクとキラキラ

世界の終わりに寿司が食べたい。

西原理恵子「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」

 

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと

 

 私の母が「毎日かあさん」のファンだった影響で、私も1巻からずっと「毎日かあさん」を読んできた。

 

西原理恵子のことに関して、好き嫌いが分かれるとは思うけれど、私はどちらかというと好きな方だ。

白黒はっきり、したい事をして自由に生きて伸び伸びと笑っているから。

先日、欲望に忠実な女の子が好き、と書いたけれど、西原理恵子を見ていて、欲望に忠実なおばさんも、まあ悪くないなと思う。

あまり近くにいたら(例えば家族とか)、色々複雑なんだろうけれど、遠くから見てるぶんには大変気持ちが良くて好きだ。

 

さて、この「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」は、これまでの西原理恵子の発言をまとめて、自身の経験に落とし込んでより説得力を持たせている本だな、という感想。

それに、反抗期真っ只中で、なかなか伝えたいことが伝わらない娘に、自分の言葉を残そうという気持ちも見える。

 

まず年表を作っただけでも西原理恵子の人生は挫折と失敗だらけだ。

 

美大を受験するはずの日に、DV夫だった父が自殺し、

美大を目指す予備校ではビリからのスタート、

エロ本のカット描きをしながらパブで働き、

結婚した旦那はアル中で、

子供を守るために必死で離婚して。

 

だから強くなれたんだし、強い言葉を残せる、どん底にいる人も救える言葉を持ってるんだと思う。

うちの母も、弟の子育てに1人で悩んで悩んで、辛いピークが終わっても、これで良かったのか、これから大丈夫なのか不安で不安で仕方がなかったけれど、毎日かあさんを読んで救われた1人。そういう人がきっと日本中にいるはず。

それだけで、少し西原理恵子のことはすでに好き。

言葉に力がある人だ。

 

たとえば。

昔は、殴られる女が「我慢強い」「よう辛抱した」って褒められたんです。

 

でも人生は、我慢比べじゃないからね。「あんたのために我慢してる」なんて言われたら子どもは、何にも言えなくなるし、本当はうんと悲しい。

 

ひたすら「我慢すればいい」っていうのは、次の一手を打つことを、はなっから諦めてしまうこと。考えるのを投げ出してしまうこと。

 

西原理恵子にしか言えないことがある。たまたま彼女が背負ったことが多く、重すぎて、もしくはそれを発信する力が強すぎて、そしてアドバイスがデーンとしすぎていて、なかなか自分に落とし込めないことがある。

でもそれは、ソクラテス夏目漱石と一緒で(この例が合っているのか分からない)自分に落とし込む作業こそが、その人と私との関係性なのだと思っている。

西原理恵子と私の関係性。

私は、西原理恵子の息子よりも8歳くらい上だけど、まあ、どっちかというと西原理恵子の子供の立場で彼女の言葉を受け取ってしまう。

 

今回も、娘の気持ちで読む。

自由ってね、有料なんですよ。

そしてもし将来あなたに子供が産まれたら、責任も有料です。お金がなかったら、子どもは育てられません。

自分で働いて、お金を稼ぐっていうのは、そうやって、ひとつひとつ、自由を勝ち取っていくことなんだと思います。

 

糟糠の妻にはならないこと。

彼の夢を支えるんじゃなくて、自分の夢を叶えてください。

 

大事なのは、自分の幸せを人任せにしないこと。

そのためには、ちゃんと自分で稼げるようになること。

 

ダイヤモンドをくれる男より、一緒にリヤカーひいてくれる男がいい。

しょぼい一日を、ふたりで笑い話にできるなら怖いもんなし。

転んだ時の受け身がうまい人なら、もう言うことなし。

これは、どれも自分が親からもらえなかったけれど、本当はこう言って欲しかったから、わたしに響く言葉なんだろうな、と思う。

私は、そうやって救われた、西原理恵子の娘の1人なのだ。

 

でも実際は、辛い経験を何度も乗り越えてきた母なんて重い。

その経験をしてない自分は、いつまでも母にはかないそうになくて、でも反論したいことはきっと山ほどある。

それはそうだけど、でも!と言いたい。

母なんて、親なんて、きっとそういうもので、その葛藤の中から自分の答えを見つけていく作業が必要な時がある。

それも親と子の関係性の一つなのかな、と思っている。

 

なんか感情的になってきたので、このへんで。