ピンクとキラキラ

世界の終わりに寿司が食べたい。

瞬間の幸せ

 

同じ気温でも、何処からか風を感じて涼しい日と、奥から汗がじっとり滲み出てくるような蒸し暑い日とある。

 

今日は後者だった。

冷房の苦手な母が天下を取っている我が職場は、室内温度計が30度を指しても冷房をいれない。

だから、女子校時代みたいに、扇風機の前に行ってはスカートをパタパタさせて太ももあたりに纏わりつく湿気を払うのだ。

母には、みっともない、と言われるけれど気にしない。

大人になってスカートをパタパタさせるのは、なかなかに気持ちがいいと知る。

 

 

泣き虫チエ子さん 愛情編 (集英社文庫 ま 22-3)
 

 今日は、合間合間にこれを読んでいた。益田ミリの「泣き虫チエ子さん 愛情編」。他に何編があるかは知らない。

 

昨日ふらっと本屋に寄った時、湊かなえのを買おうと思ったのだけど、何だか湊かなえは読む前から不安になるので、中和させるものも、と手に取ったのが「泣き虫チエ子さん」だった。

 

この「泣き虫チエ子さん」は、結婚11年目のチエ子さんと、その旦那さんサクちゃんの日常を描いた、何にも起こらないマンガだ。

 

このチエ子さんとサクちゃん夫婦、私と彼氏にめっちゃ似ている。

 

基本的にチエ子さんがしゃべっていて、サクちゃんが「うん、うん」と聞いているところとか。

 

チエ子さんは何にでも感情移入してすぐ泣くけど、サクちゃんはそれがさっぱりわからなくて、でもチエ子さんはそれで全然構わないところとか。

 

チエ子さんの、割と身勝手で、すぐ勝手に怒り、そしてすぐにどうでもよくなれるところ。

サクちゃんの、何かを感じても、取り立てて深く考えず、感じる気持ちのまま、無理に気持ちを作ったりしないところ。

 

多分、いろんな人が読んで、その人その人で共感できるところがある本なんだろうな。

 

そうそう、これだ。と思った一連のキャプションがある。

 

チエ子さんとサクちゃんが、何でもない日に、ふらっと外食に出かけて担々麺を食べているとき。

チエ子さんはサクちゃんに

「サクちゃん  今さ  幸せ  何パーセント?」

と聞くと、サクちゃんは

「120パーセント」

と答える。そうすると、チエ子さんは

「あたしも‼︎」

と同意するところ。

 

チエ子さんにも

サクちゃんにも

それぞれ心配ごとや

悩みなんかもあるのでしょうが

ふたりは

瞬間の幸せを認められる

力を持っているのです。

 

わたしが、彼氏といて感じている「なんとなく」の幸せは、わたしにも彼氏にも、そういう力が多少なりとも備わっているからだと思う。

 

わたしが、彼氏に対して、一気に恋に落ちた瞬間、というのがある。

付き合った後の話なのだけども、

些細なことについて喧嘩した時だった。

 

喧嘩しつつも、夜ご飯を食べる約束をしていたから、近所の平凡な居酒屋さんに入った。

あまり話したくないから、特に相談せずに、それぞれ自分の食べたいものを一品ずつ頼む。

あれは多分彼氏が選んだのだと思うけど、「蟹入りだし巻き卵」という季節限定メニューを頼んだ。

料理を待つ間、お互い無言のまま生ビールをちびちび飲んでいた。

割とすぐに「蟹入りだし巻き卵」が出てきて、お腹が減っていたのもあって、ホカホカのそれを、2人とも同時にそれを口の中に入れたのだった。

その瞬間、思わず彼氏の方を見たら、彼氏も私を見ていた。

「蟹入りだし巻き卵」が、めちゃくちゃ美味しかったのである。

思わず、「めっちゃ美味しいね」と言ったら、同時に彼氏も同じことを言っていた。

その瞬間、なんとなく好きで付き合っていた彼氏のことを、間違いなく好きになった。気がする。

帰り道にきちんと仲直りをして帰ったその夜は、ドキドキして眠れなかった。

 

瞬間の幸せを、認められること、認め合えること。

それは、簡単なようで、多分みんながみんな誰とでもできることではない。

 

なんだか最近彼氏の話ばっかりしているけど、そういう友達もいる。

 

そういう人をちゃんと、大事にしたいなと思う。

どうしても、「嫌われたくない」気持ちが強くて八方美人になりがちだけど、決してそれは悪くはないんだけど。

本当に自分にとって大事なものは、「嫌われたくない」気持ちに押し流されないように、ちゃんとこの腕の中で守っていたい。

 

なんだか蒸し暑いと、考え方も少しべたつくな。軽やかでいたい。

 

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マイベストシーンです。 

 

仕事終わりの彼氏から、これから少しドライブしない?と誘われたので、二つ返事でついていく。

 

夏の夜は軽やかだ。