三代目薬屋久兵衛/ねむようこ
前回みたいな、昔の話を書いたきっかけは、ねむようこの「三代目薬屋久兵衛」を読んだからでした。
恋のはじめは切なくて苦しむことと知りました - ピンクとキラキラ
昨日、図らずも暇ができてしまい、本屋をぶらついていました。
ねむようこが新連載の単行本を出しているのはずっと知っていたんですが、「午前3時の」シリーズ初期からのファンであるために、このファンタジーチックな装丁が、大判コミックスの1000円近い値段が、買うのを渋らせていたのです…エー、なんか架空の生き物とか出てきちゃうんじゃないの、的な。しかし。
暇だと1巻くらい買ってみよう、って気持ちになっちゃうんですね。
1巻を買って、ドトールのアイスコーヒー飲みながら読んだら、そのままKindleで2〜5巻買っちゃいましたね。(Kindleだと600円台で買えちゃうのマジお得ですね)(でも私は基本的に紙派ですよ)
いやー、何故今まで買い渋っていたのか!
少女漫画家ねむようこ健在!って感じです。
午前3時の〜からそうでしたが、ねむようこの描く女の子はだいたい可愛いし、おしゃれだし、何にもしなくても男の子がやってくるタイプが多いし、そういう「フツーに可愛い女の子」が主人公なんですよね。(たまこ除く)(でもたまこだって細くて小さくてかわいい!)
そして衝動を行動に起こしちゃう。それもかわいい。
三久が叶くんに初めてしたキス、あれ。現実では、絶対想像するけど、絶対やれないやつでしょ。
そういうところが、大きな目をキラキラさせながら「フツーの女の子」と自ら名乗ってしまうような少女漫画なんだな。
でも、なんか悩んだりしてるのは私たちに近いんですよね。そして私たちよりすこし熱があって、よい程度に冷静で。
それが今回は初恋の呪い。初恋の君「アキト」との結婚の約束。
ありますよね、幼き日々の恋は、それはそれは綺麗に磨かれてますからね〜
めっちゃわかる!と思いましたね。
よくよく、まじまじと見つめることができれば、あの時の幼さとか、考えのなさとか、今よりもっと無知で純粋で単純だったことが見えてくるんだけど、「今現在の私」で「14歳のあの時」に立ってしまうと、たちまち全てが輝き出すんですよ。
あの恋以上のものがあるのか、とさえ思ってしまう。
でも、そんなのは幻想で、それはもはや過去と言う名のファンタジー。
それから、苦しさや悲しさや、時に憎しみや、いろんな感情にまみれて、今現在の私が出来上がっている。
でも、そんなファンタジーが、時に悲しみから引っ張り上げてくれることもある!
めっちゃわかるわ〜と思いましたね。
でも最後は好きな人と結ばれるんですよね〜それがまた少女漫画的なよさ。
恋に落ちる瞬間とかも、ハチミツとクローバーじゃないですけど、いいんですよ。
叶くんが三久に恋に落ちる瞬間とかね。
血が赤くて。
また会って、どきっとする時の胸の締め付けとか。(この描写が、ねむようこの真骨頂だと思ってます)
あと。ちょっと気になること言われちゃってお腹のあたりがチリチリするのとか。(これも)
叶くんに、過去の結婚離婚のこと、「気にしてないよ」って言われた時の、チリチリ。
やっぱり最高に少女漫画ですよね!
でもたまに、
「傷ついてる人はその分たくさん歩いてきたってことでしょ?」
とか言っちゃうんですよ。
我々みんな全肯定!みんなたくさん歩いてきたよね!万歳!
ありがとうございます!
そしてこれね。
「アキト…あのね、私はもう中学の頃のあそこにはいないよ」
「アキトもいつまでもあんな所にいちゃダメだよ」
うわーん。
中学の頃のあそこ、というワードの青臭さにむせる!
でも生理前のイライラとして処理する感じ。
そして、結論のきもちよさ!
「午前3時の無法地帯」では、ももこの「仕事ナメんな。」でしたね。きもちいー!
今回は「人間に与えられた運命なんてね、いずれ死ぬってことくらいなのよ」
でしたね。
クゥう。魔女のおばーちゃん、めっちゃかっこいい〜〜
孫に、「私はこの人と死にたいのよ」って言いたいですよね〜
たかまってめっちゃ書いちゃいました。
なんだかんだ、ねむようこが描く漫画は軽やかでポップですこし熱を帯びているけど、浮き足立ちすぎなくて、好き!ってことです。何よりキャラクターがぜんぶ可愛い。
いやぁ。今作もよかったです。